ー「歓喜」とともにⅠー【第1回第九演奏会/望月敬明先生の巻】

 此のたび、いよいよ福井に於て、ベートーヴェン第九シンフォニーが地元の合唱によって演奏されることとなりました。
 
少くとも、合唱を志し楽しむ人達にとって、第九のコーラスとは、一つの聖典ともいえるほどのものであり、誰しもが、一度は唄いたい、唄おうと、心のどこかにその思いを宿し、発酵させつづけているものなのです。
 
福井でもその願いは、長い間に、ふくらみ、又遠のき、しながら今日まできたともいえます。それ程の合唱人の心を把えてはなさない魅力をもつ第九のコーラスが、今、私達の生活の場であるこの地元、福井で行われようとしているのです。合唱人の「よろこび」は直接、コーラスの「歓喜」につながるものであり、そこにうたい出される歌は、より高く、より強く、より美しくことを信じ待つものです。そして、そのうた声は、必ずや今後の福井のうた声に力として根づき、より発展を志向し得るほどのものとなろうことを祈るものです。

1975年12月27日(土)

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