ー「歓喜」とともにⅣー【第4回第九演奏会/望月敬明先生の巻】

 皆様すでにご存知のことですが、第九の演奏会は今や、全国的にみて年中行事の一つの観さえあるといわれます。ここ福井でもその風は年を追って定着していくようにみえ、参加する人も毎年、うたう人、ひく人、きく人など千数百を超え、しかもなお増加の傾向にあります。まことに喜ばしいことです。ところで、この千数百を超える皆さんの音楽に寄せる心は、いったい何に、どこへ連がるのでしょう。勿論それは、時を積み重ね、よりあつく、濃く、深い思いとなって、やがてくる21世紀に花開くであろう日本人の手による音楽に連がると考えます。つまり今うたわれるこのうたは、この音楽は、21世紀音楽の根となり、養分となる、未来をはぐくむ情念なのです。お一人お一人の今、この時の精一杯の心を通して、この演奏会に、遙かに美なるものを、遙かに美なるものに連がる道をみたいものです。

1978年12月23日(土)

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