定演に贈る言葉 Ⅱ【島崎篤子先生の巻2】

 そもそも音を媒介とする私達の芸術的営為は、真なるもの善なるもの美なるものの継承とその血肉化、そしてその自己表現にあることはいうまでもないが、その継承と血肉化という最も根源的かつ苦しいこの営みを放棄し、軽薄な音の洪水に自己を埋没させている若者が多くいる中で、苦しい根の営みの上に、かろうじて成立しえたこの定演の背後を思うと感慨無量というほかはない。
 
聴衆の方々もきっと華やかなステージの背後に隠された皆さんの根の営みを見ていることであろう。

19831217
顧問 島崎篤子

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